あのレジェンド武豊をして「競馬史上最高の牝馬」とまでいわしめたエアグルーヴ。彼女が生み出した名勝負や、その美しい走りは多くの人々を魅了し「女帝」と称えられています。
現在はウマ娘の人気爆発によりメインキャラクターの一人でもあるエアグルーヴは幅広い世代に知られる存在となりました。
そのため「ウマ娘」エアグルーヴは知っているけど「競走馬」エアグルーヴは知らないという人も多いのではないでしょうか。自分もウマ娘きっかけで競馬を始めたので「ウマ娘」としてのほうが馴染みがあります。
そこで本記事ではGⅠ2勝ながらなぜこの馬が「女帝」と呼ばれ、「競馬史上最高の牝馬」とまで称賛されるのか。彼女の魅力や競馬界に与えた影響と偉大さに迫り、競馬ファンだけでなく、ウマ娘ファンにも知ってもらいたい彼女の魅力を紹介していきます。

エアグルーヴとは
プロフィール
性別 | 牝馬 |
毛色 | 鹿毛 |
馬主 | ラッキーフィールド |
調教師 | 伊藤雄二 (美浦) |
生産者 | 社台ファーム |
中央獲得賞金 | 8億2196万円 |
通算成績 | 19戦9勝【9-5-3-2】 |
主な勝ち鞍 | 97’天皇賞(秋)(GⅠ) |
生年月日 | 1993年4月6日 |

血統

父トニービンは現役時代に凱旋門賞を勝利。日本でもジャパンカップに出走し、オグリキャップやタマモクロスなどと戦いました。
父としても優秀で、1994年にはJRA総合リーディングサイアーを獲得。エアグルーヴの他ジャングルポケットなどがその産駒にいます。
母ダイナカールもオークスを制覇したGⅠ馬。母父のノーザンテーストはアメリカから輸入され1000頭以上もの産駒を残した大種牡馬。ウマ娘では理事長のモデルとも言われています。

競争成績
通算19戦9勝【9-5-3-2】
レース名 | 着順 | 騎手 | 距離 |
---|---|---|---|
3歳新馬 | 2 | 武豊 | 1200m |
3歳新馬 | 1 | 武豊 | 1200m |
いちょうS | 1 | 武豊 | 1600m |
阪神3歳牝馬S(GⅠ) | 2 | キネーン | 1600m |
チューリップ賞(GⅢ) | 1 | ペリエ | 1600m |
優駿牝馬(GⅠ) | 1 | 武豊 | 2400m |
秋華賞(GⅠ) | 10 | 武豊 | 2000m |
マーメイドS(GⅢ) | 1 | 武豊 | 2000m |
札幌記念(GⅡ) | 1 | 武豊 | 2000m |
天皇賞(秋)(GⅠ) | 1 | 武豊 | 2000m |
ジャパンC(GⅠ) | 2 | 武豊 | 2400m |
有馬記念(GⅠ) | 3 | ペリエ | 2500m |
産経大阪杯(GⅡ) | 1 | 武豊 | 2000m |
鳴尾記念(GⅡ) | 2 | 武豊 | 2000m |
宝塚記念(GⅠ) | 3 | 武豊 | 2200m |
札幌記念(GⅡ) | 1 | 武豊 | 2000m |
エリザベス女王杯(GⅠ) | 3 | 横山典弘 | 2200m |
ジャパンC(GⅠ) | 2 | 横山典弘 | 2400m |
有馬記念(GⅠ) | 5 | 武豊 | 2500m |
GⅠ2勝、GⅡ3勝、GⅢ2勝と重賞7勝という素晴らしい成績。さらにすごいのは成績の安定感。19戦走って3着以内を外したのは僅かに2回のみ。
当時はワイドや三連系の馬券の発売がまだ始まっていなかったので、馬券的には2着以内でないと意味はありませんでしたが、現代では軸馬として抜群の成績。
当時の牝馬のレベルを考えると、ここまでの成績を残せたのは「女帝」と呼ばれるに相応しいものであったと感じます。
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当時の牝馬レベル
エアグルーヴのデビューから引退までの1995~1998年の天皇賞春、宝塚記念、天皇賞(秋)、ジャパンカップ、有馬記念の勝ち馬は以下の通り
レース名 | 1995年 | 1996年 | 1997年 | 1998年 |
---|---|---|---|---|
天皇賞春 | ライスシャワー (牡馬) | サクラローレル (牡馬) | マヤノトップガン(牡馬) | メジロブライト (牡馬) |
宝塚記念 | ダンツシアトル (牡馬) | マヤノトップガン(牡馬) | マーベラスサンデー(牡馬) | サイレンススズカ(牡馬) |
天皇賞(秋) | サクラチトセオー(牡馬) | バブルガムフェロー(牡馬) | エアグルーヴ (牝馬) | オフサイドトラップ(牡馬) |
ジャパンカップ | ランド (牡馬) | シングスピール (牡馬) | ピルサドスキー (牡馬) | エルコンドルパサー(牡馬) |
有馬記念 | マヤノトップガン(牡馬) | サクラローレル (牡馬) | シルクジャスティス(牡馬) | グラスワンダー (牡馬) |
これをみても牡馬がかなり強い時代だったということが分かります。近年はアーモンドアイ、グランアレグリア、クロノジェネシスなど強い牝馬が数多くいますが、今とは全く違うレベル差があったようです。
この時代に強い牡馬相手に活躍を続けていたエアグルーヴはまさに「女帝」。現在の牝馬も活躍する時代の基礎を作った一頭ともいえます。

「ウマ娘」エアグルーヴの目標レース
ウマ娘での目標レースは実際のレースを元に作られています。エアグルーヴの目標レースは以下の通り
目標レース |
---|
ジュニア級メイクデビューに出走 |
阪神JFで5着以内 |
桜花賞で5着以内 |
オークスで5着以内 |
秋華賞で3着以内 |
大阪杯で3着以内 |
宝塚記念で3着以内 |
札幌記念で1着 |
天皇賞(秋)で1着 |
エアグルーヴが勝利したオークス、大阪杯、札幌記念、天皇賞(秋)がしっかりと再現されています。阪神JFは改名前の阪神牝馬3歳Sに出走している点を再現しています。
出走していない桜花賞、10着に大敗した秋華賞も目標レースに挙げられていますが、現実ではなし得なかった牝馬三冠を達成してさらなる「女帝」を目指してい欲しいという願いが込められていると思います。

エアグルーヴの競馬界への影響と功績
母としての活躍
エアグルーヴの残した最も大きな功績はその産駒成績にあります。多くの活躍馬を輩出し、競馬界の発展に貢献しました。主な産駒は以下の通り
ルーラーシップ
香港のGⅠクイーンエリザベスCを勝利。日本でのGⅠはオルフェーブル、ジェンティルドンナ、エイシンフラッシュ、ゴールドシップといった強力なライバルたちに惜敗が続いたものの、重賞5勝をあげた名馬です。
種牡馬としても菊花賞馬キセキを輩出。近年その勢いを増しており、今年の3歳世代では無敗で朝日杯を勝利したドルチェモア、きさらぎ賞勝ち馬フリームファクシ、阪神JF3着のドゥアイズなどクラシックで楽しみな多くの産駒を残しています。
これからもエアグルーヴの血を残していく上で重要な1頭です。
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アドマイヤグルーヴ
エリザベス女王杯連覇を達成した名牝。ダイナカール、エアグルーヴ、アドマイヤグルーヴでの親子3代でのGⅠ制覇も達成。スイープトウショウ、ゼンノロブロイ、タップダンスシチーなどと戦った経験があります。
母としても優秀。産駒は5頭しか残せなかったものの、オープン馬が3頭、そのうち1頭は皐月賞、日本ダービーの2冠を達成したドゥラメンテ。このドゥラメンテの産駒たちが現在の競馬界の中心となっているといっても過言ではありません。
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孫たちの活躍
上記のようにエアグルーヴは優秀な産駒を残しました。その子供たち、つまり孫世代が現在の競馬界では大活躍中です。主な活躍馬を紹介していきます。
タイトルホルダー
現役最強ステイヤー。すでに菊花賞、天皇賞(春)、宝塚記念とGⅠを3勝。凱旋門賞にも出走しました。今年の始動戦となった日経賞でも8馬身差の圧勝。5歳になっても衰えしらずの実力を見せつけました。
今年の天皇賞(春)の大本命。さらにGⅠ勝利を重ねてエアグルーヴの血をさらにつないでいってほしい。

スターズオンアース
昨年牝馬2冠を達成した馬。秋華賞は3着に敗れたものの、致命的な出遅れと直線でスムーズに進めない中での強烈な末脚。その後の活躍を見ても歴代の3冠牝馬とも遜色のない実力を持っていると思います。
今後の活躍とその産駒に期待が高まります。
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リバティアイランド
新馬戦でJRA史上最速の上がり31.4秒を記録した怪物。阪神JFでGⅠを制覇してその実力が本物であることを証明した。個人的にダービーに挑んでも勝てるのではないかと思うほどの強さ。
まだまだこれからの馬。牝馬三冠達成など夢が広がる一頭です。
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ウマ娘でのエアグルーヴ
ウマ娘のキャラクターは史実の馬の要素をたくさん含んだデザインやストーリーになっているようです。エアグルーヴにも史実の馬を参考にした要素が多数含まれています。
見た目の元ネタ
キャラクターの見た目では、エアグルーヴが鹿毛であったことから、キャラクターの髪色も同じような色になっています。
服も黄色と青色を基調としており、「黄、青一本線、青袖」のラッキーフィールドの勝負服をイメージした服となっています。

エピソードの元ネタ
ウマ娘でのエアグルーヴはとある理由から男嫌いという設定になっています。その理由が1997年のジャパンカップ。この時エアグルーヴは2着に敗れます。1着だったのが凱旋門賞馬ピルサドスキー。このピルサドスキーがエアグルーヴに「馬っ気」(発情)を出したエピソードが有名。このことから男嫌いとなっているようです。
また、エアグルーヴがファインモーションの家族に嫌悪感を抱くシーンもあります。この理由としてはさきほどのピルサドスキーがファインモーションの兄にあたることが由来とされています。
ウマ娘アニメ2期の1話でトウカイテイオーとメジロマックイーンが学校案内をするシーンの中でエアグルーヴがカメラのフラッシュを嫌がるシーンがあります。これの元ネタは秋華賞。このレースのパドックでお客さんがカメラのフラッシュをたいた事件が起きました。その影響かは分かりませんが10着と大敗。このことからフラッシュを嫌っていたと考えられます。
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まとめ
エアグルーヴの成績を振り返ると改めてそのすごさを感じさせられました。以前はGⅠ2勝ながら「女帝」と呼ばれることに違和感がありましたが、こうして調べてみると当時の牝馬レベルを考えるとその競争成績は「女帝」の名に相応しいと感じました。
競争成績以上にその産駒たちの活躍が最も素晴らしいと思います。現在競馬界を席巻しているドゥラメンテ産駒もエアグルーヴの血が入っています。現在の牝馬レベル、競馬界のレベルを引き上げた功績は非常に大きいものがありました。
エアグルーヴの血をもった子孫たちがさらなる活躍を続けていくことで、彼女の偉大さを証明し続けていくことに期待です。
ここまで読んでいただきありがとうございました!

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