2023年1月10日、2022年度のJRA賞が発表された。
- 年度代表馬 イクイノックス
- 最優秀2歳牡馬 ドルチェモア
- 最優秀2歳牝馬 リバティアイランド
- 最優秀3歳牡馬 イクイノックス
- 最優秀3歳牝馬 スターズオンアース
- 最優秀4歳以上牡馬 タイトルホルダー
- 最優秀4歳以上牝馬 ジェラルディーナ
- 最優秀短距離馬 セリフォス
- 最優秀ダートホース カフェファラオ
- 最優秀障害馬 オジュウチュウサン
以上10部門で合計9頭の競走馬が表彰された。
受賞した各馬について紹介していく。

年度代表馬、最優秀3歳牡馬 イクイノックス
得票率97.9%で文句なしの年度代表馬選出。また最優秀3歳牡馬との同時受賞となった。
春は皐月賞、日本ダービーは大外枠からの2着と惜敗が続きましたが、秋になると馬体も成長し一気に覚醒。天皇賞・秋、有馬記念のG1連勝でまさに”天才”と称するに値する活躍でその才能を示した。有馬記念ではタイトルホルダー、エフフォーリア、ディープボンドといった歳上のトップホースが一杯に追い出している中でその外を馬なりで捲っていく光景は圧巻だった。両レースともに父キタサンブラックとの親子制覇を達成しており、偉大な父同様に来年以降のさらなる飛躍が期待できる。
イクイノックスのベストレースは天皇賞・秋で間違いないのではないだろうか。もちろん圧勝劇で古馬を捻じ伏せた有馬記念も素晴らしかったのですが、パンサラッサの大逃げとそれを差し切った”天才の一撃”の衝撃は今でも忘れられません。個人的に現地観戦していて三連複が的中したレースだったこともあり年間ベストレースでもあると思っています。競馬初心者にこそ見て欲しいレースです。
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最優秀2歳牡馬 ドルチェモア
無傷の3連勝でのG1朝日杯制覇で重賞2勝目を手にしておりこちらも文句なしの選出だろう。
朝日杯では坂井瑠星騎手の追い出しにもしっかりと反応し抜群の手応えの走りで強烈な末脚で迫るダノンタッチダウンをわずかにかわしきっての勝利。馬主さんであるスリーエイチレーシングにとってこれが初のG1勝利でありまさに”孝行息子”であるといえる。無傷での朝日杯制覇は前年のドウデュースに続いて史上17頭目。前年覇者同様にダービー制覇でさらなる”孝行息子”になるかに期待です。
ドルチェモアのベストレースとしてはサウジアラビアRCを挙げたいと思います。大逃げのグラニットを2番手追走から一頭次元の違う脚でゴール手前で差し切ったレースです。このレース前から調教で白毛のアイドルホースのソダシと互角の走りをみせていたと話題になっており、この勝利でその噂に間違いがなかったことを証明しました。自分はこのレースを見たときから朝日杯の本命はドルチェモアだと決めていました。
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最優秀2歳牝馬 リバティアイランド
今回の選出馬のなかで唯一の満票獲得での受賞となった。
新潟での新馬戦では上がり3ハロン(ラスト600m)JRA史上最速タイの31.4秒という衝撃の記録を叩き出した怪物。タイ記録を持つルッジェーロは1000m直線レースでこの記録を出しており、それをマイル戦で出したことにはさらに驚きです。2戦目のアルテミスSではラヴェルの2着に敗れてしまいますがG1阪神JFでは2馬身半という着差以上の強さを見せつけ、この世代の”絶対女王”は自分だということを世に知らしめた。2020年デアリングタクト以来の牝馬三冠を達成することのできる大器ではないでしょうか。
リバティアイランドのベストレースはJRA最速記録タイを叩き出した新馬戦。同レース2着のクルゼイロドスルはその後2勝をあげておりG2でも5着に好走、4着のイコノスタシスは未勝利を勝ち上がるとG3に出走している。こうした決して弱くない相手をノーステッキで抜き去っていく姿は”絶対女王”たる所以であると感じさせられる。
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最優秀3歳牝馬 スターズオンアース
投票数288票のうち286票を獲得し文句なしの選出となった2冠牝馬。
1冠目の桜花賞制覇までは5戦1勝とかなり苦労のあった同馬。その後オークスを危なげなく勝利し2牝冠馬となった。桜花賞、オークスを制した2冠牝馬はブエナビスタを除きすべて3冠牝馬となっており、秋華賞も視界良好と思いきや両前脚の剥離骨折が判明。リハビリに専念し万全で臨めたとはいえない状態でむかえた秋華賞は出遅れもあり惜しくも3着に敗れた。しかし、3冠は逃したもののその末脚は骨折の影響を感じさせないものであったため、万全の状態で彼女がレースに戻ってくることに期待です。
スターズオンアースのベストレースは桜花賞です。最終直線では隣の馬に寄せられたことでかなり狭い進路を走らなければならなかった。実況もウォーターナビレラの勝ちを確信したような感じでした。それでも川田将雅騎手の好騎乗に導かれてハナ差での差し切り勝ち。5戦1勝と苦しんでいた同馬がついに輝く”一番星”となった瞬間であった。
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最優秀4歳以上牡馬 タイトルホルダー
投票数288票のうち280票を獲得し、ヴェラアズールに大差をつけての受賞となった。
春には天皇賞・春、宝塚記念のG1を2勝した現役最強の逃げ馬。3200mの天皇賞・春を7馬身差をつけて逃げ切る豊富なスタミナで自分のペースでレースを有利に展開でき、競りかけてくるライバルにはスピードアップしてスタミナを削り、誰も競りかけてこなければ体力を温存して最終直線で上がり上位の末脚を繰り出すという非常に厄介な馬であることは間違いない。宝塚記念ではパンサラッサの超ハイペースにも2番手で楽々追走、最終直線で抜け出してレコード決着で後続を完封し、競馬界の”エース”に名乗りを上げた。秋に凱旋門賞挑戦以降有馬記念では9着と不振にあえいだが、春にはまた強いタイトルホルダーを見せてくれるだろう。
タイトルホルダーのベストレースはレコードでの勝利となった宝塚記念。”令和のツインターボ”とも呼ばれるパンサラッサのつくりだす超ハイペースにも楽々と追走。4コーナー手前には先頭に立つと上がり3位という本当に逃げ馬なのかと疑いたくなるような脚で前年の年度代表馬エフフォーリア、三冠牝馬デアリングタクトといった強豪を全く寄せ付けない圧倒的勝利であった。

最優秀4歳以上牝馬 ジェラルディーナ
VMを制覇したアイドルホース、ソダシもいるなかで238票を集めての受賞となった。
父モーリスはG1を6勝、母ジェンティルドンナはG1を7勝の名牝であり両親合わせてG1を13勝の超良血馬である。激しい気性から折り合いが課題で善戦はするものの重賞勝利はあげられなかった。しかし、秋にその良血の力が覚醒。G2オールカマーで重賞初勝利をあげると、続くG1エリザベス女王杯を重馬場ながら圧勝した。G1馬となって臨んだ有馬記念ではパドック、返し馬ともに激しい気性をみせておりスタートも大出遅れ、自分は馬券を買ったことを少し後悔するほどでした。それでも中山の短い直線で後方からごぼう抜きし3着に入着した。来年の牝馬路線はこの馬が暴れまわるのではないかと感じさせられた。
ジェラルディーナのベストレースは初G1制覇となったエリザベス女王杯。C.デムーロのガッツポーズが印象的なレースです。道中は課題であった折り合いが改善され成長を感じさせる優雅な走りをみせた。それでも最終直線になると力強さが増し、後に香港でG1馬となったウインマリリンを華麗にかわしての勝利。貴婦人の母から娘へと見事な”王位継承”であった。エリザベス女王陛下もこの活躍を笑顔で見守ってくれていたことだろう。
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最優秀短距離馬 セリフォス
高松宮記念のナランフレグ、VMのソダシを抑えてマイルCSを勝った3歳セリフォスが選出された。
2歳では重賞を連勝し、G1朝日杯でも2着に入り世代の中心となっていくかに思われた。しかしNHKマイル、安田記念ともに4着に敗れ苦い春を過ごした。それでも秋初戦の富士ステークスでは、激しい叩き合いの末にNHKマイルで敗れたダノンスコーピオンを破る。その後春敗れた古馬混合G1であるマイルCSへと進む。マイルCSではほぼ最後方から豪快な末脚で他馬を一気に抜き去り圧勝。今年の3歳世代の中心はイクイノックス、ドウデュースかもしれないが、マイルの最高峰に立つのはセリフォスだということを証明した。3歳世代のレベルの高さを改めてみせつけられた。
セリフォスのベストレースはマイルCS。ダノンスコーピオン、ソダシ、サリオス、シュネルマイスターなどマイルトップレベルのG1馬が参戦し豪華メンバーとなったマイルCSはゴール手前で大混戦。誰が抜け出すのかに注目が集まる中、それを尻目に最後方からセリフォスが世代最高峰の豪脚で見事な差し切り勝ち。一度敗れた同世代、古馬相手に最後方からすべてなぎ倒す豪脚はまさに”逆境の末脚”であった。セリフォスを全く買い目に入れていなかったその時の自分をいますぐにでも殴りたい。実況もびっくりし過ぎて「セリフォす↑ぅ」になってるのが好き。
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最優秀ダートホース カフェファラオ
わずかダート2戦ながらに最優秀ダートホースに選出された。これはクロフネ以来2頭目の快挙。
今年ダートではフェブラリーS、南部杯のG1を2戦2勝の現役最強ダート馬。中央だけでなく地方でも勝ち星をあげているが、この馬の本領は東京ダートでこそ発揮される。東京ダートでは4戦4勝の”東京巧者”。今年のフェブラリーSの勝利で連覇を達成した。同じ東京の芝に挑戦した安田記念では17着と惨敗。それでも東京ダートでのカフェファラオへの信頼は揺るがないだろう。来年のフェブラリーSで3連覇を達成し、ファラオの名の通り”砂の王者”として君臨し続けてほしい。
カフェファラオのベストレースは連覇を達成したフェブラリーS。スタートから前目4番手あたりを先行し、最終直線では早めに抜け出して安定感抜群のレース運びでの勝利。ダート馬らしい筋肉隆々の迫力の馬体での走りはまさに”王者”そのもの。自分が初めて予想したレースで本命にして1着だったことがいい思い出。
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最優秀障害馬 オジュウチョウサン
2位のニシノデイジーと1票差の大接戦での通算5回目の受賞で有終の美を飾った。
11歳になる障害競走界のレジェンドホース。40戦20勝、うちG19勝、中山GJではJRA史上初の同一G15連覇を達成した。この成績だけでもオジュウチョウサンの偉大さが分かるだろう。本格化まではデビューから2年半ほどの時間を要したが、本格化後は2016年4月から2020年4月まで障害競走13連勝を達成した”名ジャンパー”。11歳になってもG1中山GJを勝利したのは驚きしかない。引退レースとなった中山大障害では6着に敗れたが、ここで1着で初G1制覇を達成したニシノデイジーはオジュウチョウサンが初G1制覇を達成した2日後に生まれた馬であった。不思議な縁による世代交代が行われたニシノデイジーの活躍にも注目したい。
オジュウチョウサンのベストレースは中山GJ。障害レースのG1は中山GJと中山大障害の2つだけであるため、なかなか見る機会は少ない。障害レースは山あり谷あり坂の高低差が平地レースの比にならない。そして大きな馬たちが障害を飛び越えていく姿は迫力そのもの。オジュウチョウサンは11歳ながらこうした激しいコースを乗り越え、最終直線では激しい叩き合いの末にゴール前わずかにかわしての勝利。11歳のレジェンドホースの勝利に現地観戦の人たちが感極まったことは想像に難くない。オジュウチョウサンが全盛期のときにレースを見たかったなとつくづく感じます。本当にお疲れさまでした。
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まとめ
JRA賞を受賞した各馬についての解説とベストレースについて紹介してきました。今回のJRA賞に選出された各馬はかなり順当だったのではないかと考えています。どの馬も来年以降のさらなる活躍が期待できます。これらの馬が出てくるレースでは絶対に買い目にはいれないといけないですね。

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